不動産を売却する際の基礎知識
不動産の売却は人生の中でも何回も経験するものではありません。
何回もあることでないからこそ、初めて不動産を売却される方は様々な不安等が出てくると思います。
どの不動産会社に依頼すればいいのか、言いくるめられないか、どうやって進めればいいのか、費用等何か必要なのか等色々と不安が出てきますよね。
そこで初めて不動産を売却される方に向けて知っておくべき基礎知識をご紹介していきます。
仲介のよる売却に関して
仲介による売却とは、不動産を売却する際の一般的な売却方法です。
売主様から売却依頼を受けた不動産会社が売却活動を行い、購入希望者を見つけていきます。
買主様と売主様の間に入って条件等を擦り合わせ等、全て不動産会社に任せることが出来ます。
まずは売却査定を行うのが売却への第一歩となります。
物件の査定から引き渡しまでは平均すると3~6か月くらいとなりますが、物件や価格によっては1年以上かかってしまうこともありますし、1ヵ月以内で全て完了することもあります。
マンションは比較的にはやく、戸建てや土地の場合は売却するまで長くなってしまうことが多いです。
売主様が今後どうしたいのか?でスケジュール感は変わってきます。
すでに仲介業者様に任せているがなかなか売れない、短期間で確実に売りたいという方は不動産買取とは?をご覧ください。
不動産会社の選び方に関して
不動産売却は任せる会社によって大きく結果が変わってくることも多いです。
そこで不動産売却を成功させるためにはどこの不動産会社に任せるか?というのは重要となってきます。
さらには同じ不動産会社でも担当者によって力量も変わってきますので誰に任せるのか?というのが最も重要となってきます。
そこで売却の際の不動産会社のポイントに関して下記でご紹介してきます。
販売活動を積極的に行ってくれるか
高く売りたい、はやく売りたい等、売主様の要望を叶えるためには不動産会社が積極的に販売活動してくれるのかは非常に重要となってきます。
売却を任せたが販売活動に関して積極的に動いてくれない会社は少なからずあります。
不動産会社の主な販売方法は下記となります。
①レインズに登録されているか?(レインズとは宅建業を取得した不動産業者のみが物件流通システム)
②athome等の不動産ポータルサイトに登録されているか?
③チラシや紙媒体をやってくれるか?
特に①と②は非常に重要でこれらをやらなければ買主様を見つけるのはかなり難しくなってきます。
売却を依頼する不動産会社にどんな販売方法をするのかはしっかり聞きましょう。
そして任せた不動産会社がそれらに登録したら売主様の目で確認するのが確実です。
担当者が本音で話してくれているか?
これは担当者によって変わってくると思いますが、良いことばかりいってくる不動産会社の担当者様は要注意です。
多くの不動産会社にはノルマがあるため、何とかして売却の依頼を獲得しようと日々動いております。
そのため、良いことばかりを並べて売却を獲得する営業マンがいるのも事実です。
最初は営業の方がいいことばかりいってたけど、全然売れないし、どうしよう。。。となるケースも少なくありません。
そのため、営業マンの方がしっかりと自分の考えをもっているかも重要となってきます。
依頼する媒介契約の種類に関して
不動産を売却する際は不動産業者に「媒介契約」という売主様と不動産業者で結ぶ書面での契約があります。
この媒介契約には3種類あるため、ご説明していきます。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
契約可能な会社数 | 複数可 | 1社のみ | 1社のみ |
自己取引(売主様で買主様を見つけること) | 〇 | 〇 | ✖ |
不動産会社から報告義務 | 任意 | 2週間に1回以上 | 1週間に1回以上 |
レインズへの登録義務 | 任意 | 契約から7日以内 | 契約から5日以内 |
契約期間 | 上限なし | 最大3か月 | 最大3か月 |
レインズとは?
レインズとは国土交通大臣から指定を受けた不動産流通機構が運営しているネットワークシステムとなり、日本全国の売り物件情報を見ることが出来ます。
一般のお客様は見ることが出来ないですが、ほぼ日本全国の不動産会社は見ることが可能です。
専任と専属専任を依頼を受けた不動産業者はレインズへ物件の登録義務があります。
レインズに物件を登録することで他の不動産会社も見ることが出来るため、買主様をスムーズに見つけることが可能です。
媒介契約に関して「どれが良いの?」と悩む売主様も多いと思いますが、私個人的な意見としては信頼出来る業者に専任媒介契約を依頼することが一番売主様にとって良いと考えております。
もちろん売主様の物件や状況にもよりますが一般媒介は売主様への売却活動の報告義務がなかったり、他社も動いて広告費があまりかけられないという理由で積極的に動いてくれない業者もあり、私はあまりオススメしません。
また売主様は複数の不動産業者とのやり取りもあるため、疲れてしまうこともあります。
そのため、私は信頼出来る売主様の分身として販売活動をしてくれる専任媒介契約をオススメします。
他のWEBサイトには「複数の業者に一般媒介を依頼するのが良い」みたいなことが記載されていることも多いですが、あれは運営しているWEBサイトが複数の売主様が複数の不動産業者に査定依頼すると複数の不動産業者から費用はもらえるため、複数に依頼する一般媒介をオススメするのです。
物件の囲い込みには注意しましょう。
囲い込みとは専属or専任媒介契約で売却依頼をした物件を他の不動産会社に紹介させないことを言います。
分かりやすくご説明すると売主様がある土地をA不動産会社と専任媒介契約をしたとします。
他のB不動産会社がインターネットやレインズ等でその土地が販売されているのを見つけてB不動産会社のお客様に紹介しようとA不動産会社に電話をしても「もう売れてしまいました」と嘘をついて紹介を断ります。
これが「囲い込み」です。
なぜA不動産会社が囲い込みを行うかというとA不動産会社が自社で買主を見つけた場合は売主様、買主様双方から仲介手数料をもらえるからです。
B不動産会社が買主様を見つけてきた場合はA不動産会社には売主様からの仲介手数料のみとなるため、他の不動産会社の紹介を断るのです。
この「囲い込み」は一昔前は当たり前のように行っていました。
今では規制が強くなって少なくはなりましたが、まだまだ囲い込みをする業者はいます。
ちなみに担当者によってはまだまだ大手不動産会社でも囲い込みをしております。
売主様がこの囲い込みを見破る明確な方法はないですが、専任or専属で依頼していて相場くらいなのに全く売れない場合は一度この囲い込みを疑った方が良いかもしれません。
私としてもこの囲い込みは売主様にとって害でしかないと思うので絶対にやりません。
不動産売却する際にかかる諸費用
不動産を売却する際に売主様は買主様から物件の代金を得られるだけではなく、売主様も売却する際に諸費用がかかってきます。
その代表的な諸費用をご紹介していきます。
仲介手数料
売却を依頼した不動産会社にお支払いするものが仲介手数料となります。
仲介手数料は一般的には物件価格×3%+6万円(税別)となります。
例えば1000万円の物件の場合は39.6万が仲介手数料の費用となります。
登記費用
売却物件を住宅ローンを金融機関から借りている場合は抵当権が設定されています。
抵当権が設定されているままでは名義を変更することが出来ないため、解除するために「抵当権抹消費用」が必要となってきます。
抵当権抹消に関しては基本的には司法書士が行い、1.5~2万くらいが相場となってきます。
測量費用
土地や戸建てを売却する際に買主から「測量をしてほしい」と言われることは非常に多いです。
測量をすることで土地や戸建ての正しい面積が確定します。
測量費に関しては土地の面積にもよって大きく変わってきますが、30~50万くらいが相場となります。
印紙代
印紙代とは不動産売買契約書に貼付しなければいけない印紙の費用となります。
売買金額によって印紙代は変わってきますが、500万~1億円の物件価格帯であれば5000~3万となります。
不動産売却でかかってくる税金
不動産を購入した時よりも売却したときのほうが高く売れると、売却差益に対して不動産譲渡所得税がかかってきます。
注意してほしいのは不動産を売却して得られた代金全額に税金がかかるのではないです。
売却差益である不動産譲渡所得に対して税金が課せられます。
主な計算式は下記となります。
・不動産譲渡所得=譲渡収入(売却価格)-(取得費+譲渡費用)
契約書等が残っておらず、取得費が分からない場合は売却価格の5%を取得費とされています。
譲渡費用に関しては不動産取得費にかかった諸費用を算入することが可能となります。
お住まいである自宅を売却した場合は3000万の特別控除といって不動産譲渡所得が3000万以下であれば税金がかからなかったりする特例もあります。
不動産売却時に必要な書類
売却時に必要な書類は売主様の事情や物件によって変わってきますが、一般的には下記書類が必要となってきます。
・登記済権利証
・実印
・身分証明書
・印鑑証明書
・住民票
売却する際は不動産業者主導で案内をしていただけます。
不動産売却に関する起こりやすいトラブル
不動産は形が決まっているものではないため、売却の際にトラブルが起きてしまう可能性もあります。
そこで不動産売却の際に起こりやすいトラブルを解説していきます。
土地の境界トラブル
マンションは関係ないですが、土地や戸建を売却する際に買主に境界確定はしてほしいと言われることが一般的です。
そのため、境界確定のために引渡しまでに確定測量を行うことになりますがこの測量で隣地の方が立ち会ってくれなかったり、印鑑を押してくれないと売却したい土地の境界が確定せずにトラブルの原因となります。
隣地の方と疎遠の売主様や関係性が良くない場合は特に境界確定が出来ない可能性もあります。
境界確定が出来ないと買主様によっては契約書の特約に「キャンセルできる」という条文をいれてあることもあります。
隣地との関係性が良くなかったりする売主様はあらかじめ不動産会社に「境界確定はしない」ということをお伝えしておきましょう。
ただ、境界確定をしないということは当然買主様も自分の正確な土地面積が分からないため、売却価格に影響してくるということは覚えておきましょう。
契約不適合責任に関するトラブル
契約不適合責任とは売却した不動産の引渡し後に何かしらの瑕疵(欠陥等)等があった場合、引き渡し後に売主様が責任を負わないといけないという不動産契約の条文となります。
当初の契約内容に適合しない場合は全て契約不適合責任をいうことになってしまいます。
一般的には売主様は引渡後3か月間はこの契約不適合責任を負わなければいけません。
例えば戸建てを引渡後3か月以内に雨漏りが起きたら売主様が雨漏りを直さなければいけません。
予め売主様が雨漏りを知っており、契約書に雨漏りの旨を記載してあれば売主様の責任はないですが、売主様が知らなかったことも責任対象になってきてしまいます。
この契約不適合を負いたくない場合であれば契約不適合責任は負わない旨をあらかじめ不動産会社に伝えておきましょう。
売却価格には影響してきますが、後々のトラブルを考えると物件によっては契約不適合責任を無にした方が安心という面もあります。